大阪市交通局・なんでも「日本初!」

 大阪人は、かなり新しいものやお祭りが大好きです。'70大阪万博、'90花博、海遊館、新梅田シティ、OAP、ハービスOSAKA、新装なった大阪城など、新しいところにはなんでも真っ先に駆けつけるのが大阪人です。
 その点、大阪市交通局もよく言えば「先駆的」、俗っぽく言えば「新しいもの好き」で、「日本初の・・・!」と言えることを結構やっています。
 このコラムでは、大阪市交通局の「日本初!」を集めてみました。

○日本初の市営地下鉄の営業運転開始(1933年5月20日)
 大阪市営地下鉄は、1933年5月20日に梅田−心斎橋3.1kmに、日本初の市営地下鉄として開業した。開業当時は1両編成だったが、10両編成分のホームとアーチ状の高い天井を誇った。現在では10両編成の車両が走り、アーチ上部が中2階通路空間として有効活用されていることを考えると、当時の関一(せき・はじめ)市長の先見の明には驚かされる。
 ちなみに、日本初の地下鉄は、1927年12月30日の東京地下鉄道(現・帝都高速度交通営団)の開業(浅草−上野2.2km)。2番目の市営地下鉄は、1957年11月15日の名古屋市営地下鉄開業(名古屋−栄2.4km)。

○日本初のバスのワンマンカーの運行開始(1951年6月1日)
 今では当たり前のワンマンカーだが、日本初のバスのワンマンカーの運行開始は、1951年6月1日に阿倍野橋−今里間だったという。当時は6台での運行であった。
 ちなみに、大阪市営バスの全車両がワンマンカーになったのは、1971年7月10日のことです。

○日本初のバス全車両冷房化(1986年6月25日)
 大阪市営バスは、道路の混雑などで乗客離れを招いていた市バスに利用者を呼び戻そうとして「冷房バス」のサービスを開始しました。
 そして1986年6月25日に、バスとして全国で初めて全車両の冷房化が完了しました。
 なお、大阪市営地下鉄の全車両冷房化完了は、1995年夏です。

○日本初のGTOサイリスタを採用したVVVFインバータ制御電車の営業運転(1984年12月24日)
 ちょっと技術的な「日本初」(世界初でもある)だが、中央線で1984年12月24日から営業運転を開始した「20系」車両は、「電車100年の歴史を変える交流モーターの電車(大阪のあし・No.92)」として鉄道業界では注目を集めた車両だった。
 どうすごかったかを簡単にいうと、それまでの直流モーター車両にあった、整備の面倒くさい装置(モーター内の整流子やカーボンブラシ)が、新しく開発されたGTO(ゲート・ターン・オフ=電流を高速度で入・切できる)サイリスタ素子の使ったインバータで電圧と周波数を変えることにより(これを「VVVF(Variable Voltage Variable Frequency)制御」という)不要になったため、整備がすごく楽になったということだ。一般利用者にはなんということはないだろうが、鉄道会社サイドでは手の掛からない「夢の車両」だったのだ。
 それに加えて、交流モーターの特性となめらかな加減速により車輪の空転や滑走が発生しにくいため従来6両編成なら電動車が4両必要だったのが、3両で済むようになったこと(4M2T→3M3T)、従来の抵抗制御車では抵抗器で放熱することにより速度制御を行っていたのが、交流モーターではそれが不要になったため、省エネに加えて放熱でトンネル内が暑くならなくなったこと、などが挙げられる。

○日本初のリニアモータカーの営業運転(1990年3月20日)
 これも、ちょっと技術的な「日本初」(これも世界初)だが、1990年3月20日に開業した鶴見緑地線(現・長堀鶴見緑地線)でデビューした「70系」車両は、日本初のリニアモータカーの営業運転であった。
 「リニアモータカー」ときくと、「ああ、あのものすごく速い電車か」と思われる方もおられるかも知れないが、この車両は「速さ」ではなく「経済性」を追求した車両といえる。
 どう「経済的」かというと、リニア(直線状)の板状モーター使用による車両の低床化により、トンネルの断面を小さくできること(従来の直径の約4分の3で済む)、また急勾配や急曲線でも無理なく走行できるため建設場所が限定されないことが挙げられる。それに加え、ギアの音がなく低騒音というメリットもある。

○日本初のリフト付路線バスの運行開始(1991年11月14日)
 これまでの路線バスでは、乗降口のステップ(道路面からの高さ84cm)が壁となり、車椅子の方が楽に乗ることができなかった。しかし、この「リフト付路線バス」では、運転席横(バス前位置)に運転手のボタン装置で操作できる「リフト」を道路面から車内に上下させることにより、車椅子の方も気軽にバスを利用できるようになった。このリフト付バスは、1991年11月14日に1両があべの橋−天満橋間5.4kmで運行を開始したのを皮切りに、翌年1月13日には11両への増車と運行路線拡張が行われ、1995年12月25日現在では55両・19路線で運行されている。


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